当事務所の所在地は、冬の積雪が1mから多い年で2mを超すことも
ある雪国です。
この地域の住宅の屋根には、瓦であれば雪止め瓦が、鋼板であれば雪止め金具が
葺かれています。そうでないと屋根に積もる雪が建物の周囲に落ち、建物が
雪に埋もれてしまうからです。そのため屋根に雪をとどめない落雪式の家は
基礎を高くして高床にしています。
雪国の屋根に太陽光発電パネルを取り付ける場合、パネル表面は滑りやすいので
雪はたまりませんが、パネルより下に雪止めがあるとそこで止まった雪がたまり
結局パネルをおおってしまいます。雪止めを付けられません。つまり、
太陽光発電パネルを取り付けるとそれより下の部分の屋根は落屑屋根となります。
今、仮に切妻の形の屋根(図のような三角の形)に太陽光発電パネルを取り付ける
とすると、日当たりの良い南側の屋根に取り付けますから、この面は落屑屋根となり
雪は軒下に落ちます。一方北側の屋根は高床であれば雪を落とせますが、敷地が限られる
場合、住宅では北側に建物を寄せ南側を広くとるため、北側隣地からの間が狭いので
もしも落ちた雪が境界を越えて隣地に入ると、トラブルになりかねません。
雪止めをつけて屋根に雪をためておくとします。
1メートル積もった時の雪の重さは1平方メートルあたり約300キログラム
それに対し太陽光発電パネルの1平方メートルあたりの重さは15~20キログラムと、
屋根の両面の重さに桁違いの差が生じます。
すると建物の重心が屋根の重い北側に移動するため、この状態で地震が起きると
通常の揺れに加え、建物をねじる力も発生します。