工場の従業員通用門です。
以前ここにあったアルミ製の門が、春先の大雪でつぶれてしまい、
鉄筋コンクリートの柱・壁にアーチ形の鉄板屋根が取り付く
門に新設されました。
建て替えにあたり、工場の担当者から要望されたのはまず
雪につぶれないこと、壁に掲示板を付けることでした。
そこで厚さ9ミリの鉄板をアーチ形状に加工し、雪の重みに
耐えると共に、降った雪が滑り落ちるようにしました。
この工場は海のそばに立地し、冬の季節風が非常に強いため、
北西側を壁にし、その内側に掲示板をとりつけました。
ただ、屋根まで壁にすると圧迫感があるため、上に横窓を
つけて外への抜け感を出します。
この形は、駅や博物館の渡り廊下にあるものを参考にしました。
小さな門ですが、特殊な構造のため、強度計算をして
安全を確認しています。
以前の門が既成のアルミカーポートだったので、当然ですが
工事費が2倍以上かかり、担当者から説明を求められましたが
雪に耐える構造であること、通用門とはいえ、外に面したいわば
会社の顔でもあるので、安っぽくできないと申し上げ、了解を
もらいました。
屋根が鉄板ゆえ、海のそばではすぐに錆びてしまい、維持管理が
欠かせません。建てて20年以上経ちますが、屋根面はきれいに
塗装されており、大事にされているようです。
ここを通る人から「トンネルをくぐるみたい」と言われたことから
「トンネル門」とします。